【灘の昼ごはん375食目】シマの食堂

開港150年に沸く(そんなに沸いてないか)10月、神戸港の片隅で摩耶埠頭はひっそりと竣工50周年を迎えた。もちろん派手なセレモニーなどなかった。かつて摩耶埠頭は世界とつながるユメのシマだった。コンテナヤードにはレゴブロックのように色とりどりのコンテナが積み重ねられ、埠頭を渡る風はゲイラカイトを空高く舞い上げた。小さなディーゼル機関車がコンテナを載せた重そうな貨物列車をけなげに引っ張っているのをぼーっと眺めるのは至福のひと時だった。時はすぎ貨物線は廃止され、コンテナも減り、9頭いた岸壁の赤いキリンも今や1頭だけになってしまった。シマには当時のミナトの香りが残る小さな食堂がある。「ピアハウス 摩耶1」という名前がつけられているが、通称「ローキュー」と呼ばれる港湾労働者休憩所だ。店は食券形式で一月分の平日日替わりランチメニューが壁に張り出されている。驚くべきことに本当に1日たりとも同じメニューがない。「マヤカレーセット」「150周年記念ビフカツランチ」も気になるが、今日は該当日ではないのでAセット。500円でおかずが二品選べるシステムだ。おかず1品のBセット(370円)もある。ハイカラなドミグラスではなくとんかつソースがかかったコロッケと煮物。たっぷりとよそわれたメシ。ハイカラという言葉ではくくれないリアルなミナトコーベの味だ。

ピアハウス 摩耶1「Aセット」
●場所
神戸市灘区摩耶埠頭
●本日の昼食
Aセット
・コロッケ2ケ、イワシフライ
・煮物(ひろうず、大根、高野豆腐、人参、しいたけ、つくね)
・ご飯
・味噌汁
500円


【ナダタマアーカイブス】NADA sonic02(naddis990412-14)

製鉄所の煙突の見える風景(『ミナト神戸』神戸市神戸国際観光協会 刊)

校歌って皆さん覚えていらっしゃいますか?
たいてい、その地の地名や歴史が織り込まれ、ご当地ソングとも言えないこともありません。灘区には数々の学校がありますが、その中でもnaddisticな校歌と言われる「神戸市立原田中学校」の校歌を取り上げてみます。

原田中学校は灘区南西部に位置します。
原田という地名は今の王子公園近くを指すのですが、そこから全然離れた場所にあります。これは創立した場所が現福住小学校のあたりだったからでしょう。「厚木」にある「青山」学院大学みたいなもんでしょうか。
普通、阪神地方の校歌の歌詞は、「六甲」「ちぬの海」等の風光明媚系地理的条件から始まるものが多いのですが、ここの校歌はのっけから一風変わっています。

「なびく煙は…」

なんと、大胆にも大気中の煤煙の状態から入っているのです。
この歌詞の作者は校歌作詞界の松本隆ともいわれている、重鎮富田砕花氏です。富田氏は、校区をくまなく歩き生活環境を調査して作詞したそうです。芦屋在住の富田氏は、当時(S33年)の灘区南西部の煙突の数、煙の量に圧倒されたのでしょう。いまでこそ、煙突は少なくなりましたが、当時の写真をみると恐ろしい位の煙突の数だったようです。そして、煙、煙、煙。
あの六甲をも曇らせる、あのちぬの海をもどんより覆う、「灘の煙」これを書かずして何が地元の校歌だ、もう煙しかない、誰が何といおうと煙だ、そう思ったに違いありません。

「なびく煙は…よしこれでいこう!いやまてよ…」
富田氏はふとこう思ったのではないでしょうか?
「いくら灘の名物とはいえ、こんな負のイメージのものを出だしに使ってよいのか?これが反公害住民運動に発展したらまずいのではないか?」
ここから富田氏はプロの腕を発揮します。
こう続けました。
「なびく煙は…生活の息吹に応え渦巻けど!」
そう負のイメージである「町の煙」を「生活の息吹に応え、日本の高度成長を支えるダイナミックで頼もしいヤツ」即ち正のイメージへと見事に昇華したのでした。

今は、すっかり煙突も煙も少なくなり、洗濯物が赤くなることもなくなりましたが(多分)、この校歌には、当時の灘の煙突の風景がこっそり記録されているのです。

注:文中富田氏のセリフ、心情の変化はあくまでもフィクションです。

 

(naddis990412-14 NADA sonic02「陰のご当地ソング」 1999.4.12より)

 


【今日は灘の日】10月10日

2001年(平成13)10月10日 元灘クミン野依良治氏がノーベル科学賞を受賞

野山をかける体験が育てた科学の目〜国立科学博物館

「神戸の豊かな自然は生活空間の一部。山の中を探検したり、川で泳いだり、チャンバラごっこをしたり、毎日が自然との遭遇でした。遊び仲間からは「ノブタ」というあだ名が付けられ、親分のように慕われていました。」


第13期灘大学募集

灘のまちを知り、楽しく学ぶ講座「第13期灘大学」が開講します。灘大学は街がキャンパスです。様々なジャンル、視点から灘のまちを再発見する講座やガイドウォークを通して、今まで知らなかった灘と出会ってください。

≪第1回≫灘醸造学~灘の酒造り300年の文化を訪ねて
今年創業300年を迎えた沢の鶴での講義
日時:10月7日(土曜)10時~12時
集合場所:沢の鶴資料館

≪第2回≫穂高・涸沢ムービー&トークセッション
灘区出身の登山家、花谷泰広さんと山岳カメラマン、宮田八郎さんのトークセッション
日時:11月11日(土曜)19時~20時(予定)
集合場所:灘区民ホール

 

 

 

 

≪第3回≫灘土木学~六甲山と砂防ダムをめぐる話
昭和42年六甲山系豪雨災害から50年、砂防ダムをめぐるトークセッション
日時:12月9日(土曜)10時~12時(予定)
集合場所:未定

 

 

 

 

 

≪第4回≫灘映像学~キングジョー没後50年ロケ地ツアー ※全6講座申込者限定
ウルトラセブン「ウルトラ警備隊西へ」ロケ地をめぐるツアー
日時:1月13日(土曜)13時~16時(予定)
集合場所:JR六甲道駅

 

 

 

 

 

 

≪第5回≫灘秘宝館~前田コレクション
前田康男さん(六甲山専門学校校長)の六甲摩耶にまつわるコレクションを鑑賞
日時:2月3日(土曜)10時~12時(予定)
集合場所:水道筋会館

 

 

 

 

 

≪第6回≫灘交通学~神戸市バス100周年ツアー ※全6講座申込者限定
神戸市交通局のボンネットバス「こべっこ2世号」体験乗車
日時:3月3日(土曜)10時~12時(予定)
集合場所:未定

 

 

 

 

 

●受講料
全6講座 「灘百選の会」会員 1,500円 非会員 3,000円
※受講料は第一回目の会場にてお支払いください
※受講料の払い戻しはできません

●申込方法
下記の必要事項を記入の上、FAXかE-mail、はがきでお申込みください。
受講料は一回目の講座の会場でお支払い下さい。
1.住所
2.参加人数(グループ申込は2名まで)
3.参加者氏名
4.電話番号
5.「灘百選の会」会員・非会員
6.参加したい回
(申込時は「灘大学入学希望」と明記してください)
※ご記入いただいた個人情報につきましては、本講座以外での使用は一切いたしません。
※第4回、6回に関しては定員が少数になりますので、全6講座のお申込とは別に再度申込をお願いいたします。
もしくは、全6講座申込の際に第4回・6回参加希望の旨を明記して下さい。
・メールで
住所、氏名、電話番号、灘百選の会の会員・非会員を記入の上件名に
「灘大学入学希望」と明記し下記までお申し込みください。
nadaku@office.city.kobe.lg.jp
・区役所で
灘区役所4F「灘百選の会」事務局(まちづくり課内)にある
申込書に必要事項を記入のうえお申し込みください。


●主催・申し込み

〒657-8570(住所不要)
灘区役所まちづくり課内「灘百選の会」事務局
Tel: 078-843-7001 (内線224)
Fax: 078-843-7034
Email: nadaku@office.city.kobe.lg.jp