【灘の細道21】王子グリーントンネル

王子公園の北西に「王子わんぱく遊園」という小さな公園がある。震災前に「仮面ライダー神戸版」のロケが行われたといえばピンと来る灘クミンがいるかもしれない。公園自体は何の変哲もないが、この公園から東に抜ける細い道がいい。通称「王子グリーントンネル」と呼ばれている(いや、呼んでるのはきっと僕だけに違いない)癒しの道だ。特に今年のような暑い夏はここを歩きたくなる。ほんの数秒で歩ける道だけど是非ゆっくり味わいながら歩きたい。天気のいい日は天井からシャラシャラと木漏れ日が射す。葉っぱに反射した緑の光が体を包み、まるでウクライナの「恋のトンネル」を歩いているような気分になる。行ったことないけど。王子弓道場側に目をやる。タイミングが合えば葉っぱの間から清楚な弓道着に身を包んだ凛々しい弓道女子を見ることもできる。女子が着る道着で一番キュートは弓道技でないか?そんなことをぼんやりと考えながら歩くともう出口だ。ああ、もう終わりなのか。来し道を振り返っても誰もいない。幸福は一瞬だ。それは人生に似ている。
しかし、地下道、ガード下、地下河川、市場、商店街、僕の好きな空間はほとんどがトンネル状の空間なのはなぜだろう。理由はわからない。王子グリーントンネルを振り返りながら松鶴家千とせ風に呟いてみた。「きっと前世がトンネルだったのだろう」と。


【灘の細道20】灘南波乗りロード



JR摩耶駅ができて早2年。駅周辺ではマンション工事が進む。
東灘貨物駅があったころにくらべてすっかり変わってしまったね、なんて言ってしまうのは簡単だ。
しかし変わってないもの、いや変えられないものがある。それは地形だ。
JR摩耶駅周辺は南北の高低差だけではなく河川による東西の高低差、それに鉄道敷地が複雑に絡み合い「ブラタモリ」のロケが来てもおかしくない地形マニアにとってはたまらないエリアなのだ。戦後に作られた駅の南を東西に走る道は地元ではダンプ道と呼ばれていた。道幅が広く車の往来が少ないのでスピードが出しやすい。その上アップダウンが激しく接近するダンプカーがまるで波乗りをしているかのように沈み込んでから急に現れるという危険な道だった。昭和50年代、道路で遊ぶ子どもたちを交通事故から守るためにダンプ道沿いの日米珈琲本社の東隣には「ちびっこ広場」という小さな空き地もつくられた。
天気が良かったので勝手に「波乗りロード」と名付けてみた。この道は山下達郎が似合う。「BIG WAVE」を聴きながら都賀川から「タカバシサンセット坂」に向けて車を走らせれば夏はすぐそこだ。