【灘の昼ごはん374食目】わかりくい区境を越えてアフリカに出会う

中央区と灘区の区境は分かりにくい。太陽フレアによる粒子が地球に入ったかどうか分からないくらい分かりにくい。特に南側は混沌としている。風景もさほど変わらないし文化が変わるわけでもない。それほど中央区の旧葺合区エリアと灘区南西部は似ている。歩いているうちにいつの間にか国境を越えている感じがなんとなくヨーロッパみたいだ(歩いて国境越えたことないけど)。ナダタマ的にはこの辺りを非武装中立地帯として灘区とみなしている(みなし灘区)。毎月1回区境を越えて「JICA関西食堂」へ行くことにしている。ここでは区境どころか国境が越えられる。大食堂風情の空間には様々な国籍の人が集う。シンプルでモダンなインテリアとエスニックなメニューとのギャップが大阪万博世代の心をくすぐる。お目当ての月替りエスニック料理はマダガスカル料理だった。一瞬ミルマスカラスが脳裏を横切る。違う、それはメキシコだ。どこだマダガスカル? テーブルの上に説明カードがあった。そうだアフリカじゃないか。トレイにはルマザーバというさらっとしたスープとアシャールという野菜の炒め物とライスとフルーツ。メイン的なおかずがない。「ルマザーバをご飯にかけてお召し上がりください」とある。おもむろにルマザーバをご飯にかけてサラサラとお茶漬け風に食べてみた。「ん、これは…」それはまさしく奄美諸島の郷土料理「鶏飯」だった。遠く離れた二つの島が舌の上で繋がった。ここ脇浜は奄美コミュニティの地、確実にゲニウスロキ(地霊)の気配を感じる。でも目の前で和柄の丼ものをスプーンとフォークを使って器用に食べているアフリカ人はそんなことにはきっと気づいていない。

JICA関西食堂「月替りエスニック料理」
●場所
神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2
●本日の昼食
マダガスカル料理
・アシャール
(カリフラワー、インゲン、キャベツなど野菜をカレー粉で炒め、酢をからめた酸味の効いた一品)
・ルマザーバ(鶏肉、トマト、小松菜をショウガと唐辛子で煮込んだスープ)
・ご飯
・フルーツ(バナナとパイナップル)
720円