【灘の朝ごはん2食目】喫茶ローズ

喫茶「ローズ」のテーブルは低い。どれくらい低いかというと「今日は、暑いのう」とか言いながらパタパタとうちわを仰いでいる笠智衆を捉える小津安二郎のカメラの位置くらい低い。わかりにくいな。このちゃぶ台以上テーブル未満の、いわゆる「純喫茶」独特のテーブルの高さは、ちゃぶ台という和の文化とカフェという洋の文化がせめぎあった末のいい塩梅の高さなのではないか。知らんけど。やがて膝の高さのテーブルにトーストとコーヒーが運ばれてくる。壁に目をやるとALTECのスピーカーとエキストラコーヒーのカレンダー、年代物の巨大なダイキンのクーラーがブンと低い唸りを上げながら冷気を吐き出す。月曜日特有の気ぜわしい前のめり感がふっと落ち着く。ここはあえて月曜日の朝に行くのがいいかもしれない。丸みを帯びた窓枠に金色のカーテンがかる0系新幹線のグリーン車のような窓からは坂道が見える。梅雨の時期は地獄坂を登る神戸高生の足取りも重い。今日も暑くなりそうだ。

喫茶ローズ
●場所
神戸市灘区天城通7丁目
●本日の朝食
ホットコーヒー、トースト
280円